非常時持ち出し必需品でも日常使いしているもの(通帳・印鑑・保険証など)は持ち出し袋に入れてしまうと不便な場合があります。
そのような物や貴重品類はすぐ持ち出せる場所にすぐ持ち出せる状態で保管しておきましょう。
非常時持ち出し備蓄品には消費期限・賞味期限が決まっているもの(水・食料品・薬品など)があります。賞味期限消費期限管理表で管理しましょう。
後記のリストの数量は2~3日間程度を避難所で生活することを前提にしていますが、避難期間が2~3日で済むということも全く予想できず判断が非常に難しいところです。
とりあえず一通り揃えてみた上で、重さ、ボリュームから適宜判断してください。
非常時持ち出し袋に入れる食料品はエネルギー効率を優先しましょう。
保存食として人気のカンパンやビスケットはエネルギーは多いですが、缶入りの場合は体積や重量が増え、体積当たりのエネルギーはそれほど多くないという結果になります。どちらかというと家庭内備蓄に向いていると言えるでしょう。
備蓄食の「おかゆ」や「雑炊」は水分が多いため重量は大きくなりますが重量当たりのエネルギーは少ない物が多く、持出袋用に適しているとは言えません。
お年寄りや幼児のいるご家庭の家庭内備蓄むきです。
賞味期限消費期限管理表 で管理ができる場合は長期保存食にかかわらず通常の箱入りビスケットやチョコレートなどを持出袋にいれておく方法もあります。
賞味期限が切れたもの(近づいたもの)から順次消費していくローリングストック法がよいでしょう。
ビスケットなどは賞味期限が来たからと言ってすぐに食べなければならない食品は少ないです。
賞味期限が過ぎてもあわてずに少しずつ消費して入れ替えていきましょう。
備蓄品ではありませんが、ダンボールはガラスが割れた窓をふさいだり、床に敷いて休んだりできるのでストックしてあると便利です。
またベニヤ板もガラスが割れた窓をふさいだりできるので、ベッドの下や家具の背面に置き場所があればストックしておくと良いでしょう。(壁への色移りなどには要注意)
いずれの場合に対してもガムテープはストックしておきましょう。
持ち出し品で最優先するのは「命」です。危険が急迫しているときは命を最優先にしてまず避難をしましょう。
飲 料 | |
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飲料水ペットボトル 1~2L/人 | 最低でも0.5L/人・日 |
食 料 (加熱不要なもの) | |
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カンパン・ビスケット類 400~500g/人 | 摂取カロリーを1000kcal/日、2日で2000kcalとしてリッツ保存缶Lだと1缶/人(425g=2190klal/缶)、SANRITSUカンパンだと5缶/人(100g=410kcal/缶) |
ナッツ・キャラメル・チョコレート等 適宜 | 消費期限は半年~1年だが、高カロリーでかさばらないものも多い。 100g入りピーナッツ1袋+スニッカーズ1個+森永ハイソフト1個で約1,190Kcalになり、100g入りカンパン3缶とほぼ同等のカロリーになるが、重さは半分以下、体積は約1/4になる。しかも丸缶のカンパンは隙間ができやすくちょっと詰めづらい点があるが、ピーナッツ1袋+スニッカーズ1個+森永ハイソフト1個は持ち出し袋に詰めやすい。 |
缶 詰 適宜 | 重量がかさむので余裕があれば。 |
◎レトルト食品は破損する場合があるので家庭内備蓄品に。 |
食 器 | |
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紙皿・紙コップ 各4~5個/人 | サランラップでラップしたりウェットティッシュで拭いてできるだけ繰り返し使う。 |
箸 1膳/人 | 割り箸でもOKだが、普通の箸の方が拭きやすく繰り返し使えそう。 |
スプーン・フォーク 各1個/人 | プラスチック製が軽い。 |
貴重品 | |
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◎日常的に使う貴重品は持ち出し袋に入れておくのは不便なので、コピーや控えを入れておく。 | |
権利証(平成17年3月以降は登記識別情報) | 権利証や登記識別情報は紛失しても再発行されません。紛失した場合、不動産売買の手続きなどは「事前通知制度」や「本人確認情報」という書類を作成して進めますが、「本人確認情報」の書類作成には数万円かかります。 |
現金(硬貨も) | 10円、100円硬貨は携帯電話がつながらない時の公衆電話用に多めに。 |
各種書類控え・コピー | 身分証明書(免許証、パスポートなど)のコピー 健康保険証コピー 預金通帳の預入先・支店名、口座番号控え クレジットカード番号・有効期限のコピー 生命保険・損害保険の証券番号・事故時連絡先 年金証書のコピー 母子健康手帳のコピー 介護手帳のコピー |
予備のカギ | 家のカギ、車のカギ |
予備の印鑑 | 実印・銀行印は「持ち出し品-その2」に。 |
パソコンデータ | マイクロカードやCDに大切なパソコンデータを保存。 |
持出し品リスト | 持ち出し袋の中身の品物リスト。「持ち出し品-その2」リストも |
情報収集用品 | |
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手回し充電ラジオ | 携帯ラジオは手巻きの充電式が便利。最近のものは携帯も充電OK。イヤホンで聞けるものが周囲に迷惑をかけない。 |
携帯電話用バッテリー、充電器 | 携帯電話は「持ち出し品-その2」に。 |
緊急時連絡先リスト | 携帯電話が使えなくなったら連絡先が分からなくなることはないか? 家族・親戚・役所・水道局(給水車情報)・電力会社・ガス会社の連絡先をメモしておきましょう。 |
家族の写真 | 家族とはぐれた時の確認用・捜査用。 |
災害用伝言ダイヤル(171)利用方法 | 伝言ダイヤル(171)の利用方法が表示されている備蓄品が便利。 |
筆記用具・付箋・ノート | ボールペン・マジック。付箋は連絡用に使える。 |
広域避難地図 | はぐれた場合に家族の避難先を探す。 |
衣 類 | |
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着替え・重ね着の出来る衣類 | 避難時にもできるだけ着て出る。 |
使い捨て下着類 2~3枚/人 | 旅行用や圧縮タイプの物が便利。 |
靴下 1~2足/人 | 避難場所での足の保護・保温に。 |
軍手(または皮手袋) 1双/人 | 片付け作業用には丈夫な革手袋が安心。また手の保温にも使える。 |
帽子 1着/人 | 頭の保護・保温に。首の後ろの保護にタオルなども。 |
ヘルメット・保護帽子・ずきん | 頭蓋骨の弱い小さなお子様の頭の保護に。 |
雨具(レインコート・レインポンチョ) 1着/人 | ポケットレインコート。レインコートは放射性降雨に対しても必須。 不透明のレインポンチョは着替えの時にも使える。 |
携帯用スリッパ(室内履き) 1足/人 | 避難所生活での上履きに。 |
防寒具 | |
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防寒ジャケット 1枚/人 | 冬期だけでなく春秋の夜間冷える時期も忘れずに。 |
エアーマット 1枚/人 | 床からの冷えを防ぐために必須。冬季の避難は寒さとの戦いと言われています。 |
アルミ製保温シート 1個/人 | 寝袋タイプは透湿性が無いので中が湿っぽくなる。シャカシャカ音が大きく使い心地も良くなさそうだがあくまでも緊急用。 |
使い捨てカイロ | 重いので大量には持ち出せないがあればとても便利。 |
医薬品・衛生用品 | |
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◎使い慣れた薬を小分けにしておく、または携帯用を準備しておくと便利です。 入れ物は市販の救急キット専用袋かジッパー付きビニール袋に。 | |
常備薬・持病薬 | 持病のある方の常備薬は「持ち出し品-その2」に。 |
常備薬処方箋 | コピーまたはお薬手帳 |
整腸剤 | 食当りなどの対策に |
消毒薬 | 傷の消毒薬 |
手指消毒剤 | スプレータイプ、ジェルタイプ、ウェットティッシュタイプ等 |
軟膏類 | メンタム・オロナイン軟膏等 |
包帯類 | 三角巾、包帯、脱脂綿、ガーゼ、絆創膏、救急絆創膏 |
衛生器具 | ピンセット、ハサミ、毛抜き、爪切り |
洗面用具・歯ブラシ | 旅行用で可。歯磨きセット・石けん他。震災関連死で多い肺炎は口内細菌も一因。口腔ケア用のウェットティッシュや液体ハミガキも便利。 |
ティッシュ 小1箱 | ティッシュボックス または ポケットティッシュ。余裕があればトイレットペーパーも。 |
ウェットティッシュ | 備蓄期間中の乾燥に注意 |
マスク(または防塵マスク) 2~3枚/人 | 感染予防、大気汚染(噴火降灰対策)、寒さ防止 |
簡易トイレ・携帯用トイレ | 家庭内備蓄用には10日分の簡易トイレを。車での避難時の渋滞対策には携帯トイレを。 |
ドライシャンプー | 頭髪の不快感解消に。 |
紙おむつ・おしり拭き | 幼児用・高齢者用など。家庭内備蓄用には大判のものが便利。 |
生理用品・化粧品 |
照明具(明り取り) | |
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ローソク、ライター、マッチ | マッチはライターのガス切れに備えて。 アウトドア用の着火器なども便利。 |
LEDランタン 適宜 | 風がある屋外には必須。懐中電灯とセットのものもある。 リビング、キッチン、トイレに1台ずつ。 |
LED懐中電灯 1台または人数分 | 手回し充電ラジオについているライトは明るさが不十分の場合もある。高性能で軽いものを。乾電池も忘れずに。 |
ヘッドライト 1台または人数分 | 夜間の救助活動や片付け作業の際に両手が使えて便利。 |
生活用品 | |
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予備の眼鏡・コンタクトレンズ・洗浄液 | 視力が弱い人は必須。 |
ビニール袋(大中) 各5枚程度 | 東日本大震災でも一番役に立ったという品物。 ダンボールに入れて給水運搬、トイレにかぶせて簡易トイレ、身体の保温、その他ゴミ袋、洗濯物入れ、食料保管等に利用。黒色もあると便利。 |
タオル 1枚/人 | 追加で雑巾用1枚あればなお可。 |
食品用ラップ 小1個 | 水不足の時に食器に敷いて使えば洗わなくて済む。 保存、応急手当など多用途に使える。 |
工 具 | |
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多機能ツール(万能ナイフ) | ドライバーやハサミなど付いていると頼れる1品に。 |
浄水器 1個 | 「ストロータイプ」または「スーパーデリオス」クラスでまずは安心確保。 |
ロープ 1~2本 | 縛ったり固定したり。洗濯干しにも。 |
ビニールシート 1枚 | レジャーシートは断熱性クッション性があるものが良いがかさばるのが難点。屋外用に。防風・防寒にも。 |
ナイフ・ハサミ | 多機能ナイフで代用できればOK。 |
給水袋 1~2枚 | 給水車からの受水用に。 |
笛 (ホイッスル) | 大きな音を出して居場所を知らせるもの。無ければ周りのものを叩く。 |
ガムテープ(布製) | 養生テープでも可。持ち物に貼って文字が書けるもの。ビニール袋の封函用にも。持出袋には4~5m分を筆記具などに巻き取っておくとかさばらないが、割れた窓ガラスの補修用などには1巻程度は必要。 |
Wクリップ 5~6個 | アルミ製保温シート(寝袋タイプでない)のジョイント固定用に。 |
安全ピン 5~6個 | タオルや毛布を留めて下着や防寒具にできる。 |
乾電池 | 手動発電ラジオの補助電源。ランタンや懐中電灯、携帯充電器の電源に。 電池アダプターがあれば単3だけですむ場合が多いので便利。 |
ソーラー発電機 | 乾電池が無くなった場合の電源手段。仕事でパソコンや携帯を必要とする人には必須のアイテム。 |
その他 | |
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新聞紙 | 紙食器や簡易トイレに利用できる。また、ガラス片を包む、防寒対策、燃料などに利用できる多機能用品。朝刊一週間分くらいを。 |
睡眠セット | 耳栓、アイマスク、ネックピロー。避難所での睡眠のため。 |
粉ミルク・哺乳瓶 | ミルク用飲料水も。 |
ペットフード | ペットの数に応じた必要分。 |
サブリュック | 避難場所での持ち出し品の小分けに。 |
娯楽用品 | 避難場所での気分転換に。筆者はトランプを1個入れました。 |
日常的に使用しているもので、非常時持ち出し袋に入れてしまうと不便なものはすぐに持ち出せる場所に保管管理し、いつでも持ち出せる状態にしておきます。
冷蔵庫内の水・食料品も持ち出せる余裕があったら持ち出します。
◎非常持出し用袋には入れておかないけれどすぐに持ち出すもの | |
貴重品 (ウエストポーチなどにまとめたほうが良い) | |
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財布・現金 | |
通帳類 | |
印鑑・実印 | |
証明書類 | 免許証、保険証、パスポート、学生証等 |
クレジットカード等 | 大切な会員証も。 |
貴金属品など | 高価なもの、思い出の品など。 |
医薬品 | |
小児用薬品 | 小児、高齢者のいる家庭は別途に必需品を用意 |
常備薬 | 処方薬は処方箋も。 |
その他 | |
携帯電話 | |
母子健康手帳 | |
家の鍵、車の鍵 | |
メガネ・コンタクト | 日常使っているもの |
入れ歯・ケア用品 | すぐに持ち出せる場所に。 |
食料品 | 持ち出し袋には入れてないが、冷蔵庫・保存庫からすぐに出せるもの(余裕があれば) |
持ち出し備蓄品の候補には沢山の品物があります。全てを持ち出し袋に入れるのが理想ですが、重量的にもボリューム的にも過大になり持ち出せなくなってしまいます。
各家庭の実情に合わせ、下記のリストから
①最優先で持ち出すもの、
②その次に重要なもの、
③あると便利なもの
を分類選択し持ち出し袋に準備しておきましょう。
①最優先持ち出し品:1日1泊分の水食料や防寒衣料、貴重品など。
②次に重要な持ち出し品:数日分の水食料や衣料、衛生品、その他の必需品。
①と②は別々の持ち出し袋に入れ、1人の場合は①を、2人の場合は①と②をのように決めておくのもよいでしょう。
持ち出し袋の重さは一般的に高齢者や子供は3kg以内、女性は5kg、男性は8㎏以内を目安にしましょう。
避難訓練に参加して実際に持ち出し方法を体験するのも非常に有効です。
東京都災害対策HP「東京備蓄ナビ」では家族構成に応じて必要な備蓄品の種類や備蓄数が分かります。下記を参考にしてみてください。