保存水備蓄水について

保存水備蓄水について 災害対策用保存水備蓄水の考え方

1.給水停止(断水)の原因

1.地 震  :浄水場や給水管などの水道施設の損壊や停電により発生。
地震の規模により被害が広域化、長期化することがあります。

2.台風・豪雨:暴風・洪水等による施設の破損、冠水による施設の一時使用不能、広域的な停電による供給施設の機能停止などにより発生。

3.水質汚染 :放射能汚染、その他何らかの理由により水源池が汚染された場合に給水が停止。

4.停 電  :大雪による着雪、交通事故、建設現場のクレーン倒壊などにより送電線に事故が発生すると送水ポンプが停止し断水が発生します。


2.保存水備蓄水を必要とする期間は?

大災害が発生した場合、水道の復旧にはかなり日数がかかります。

電気の設備は地上の架線が多く発見復旧も比較的早くできますが、給水管の場合は地中埋設なので破損場所の特定および復旧に日数がかかります。
建屋内の水道管が破損した場合、水道工事屋さんにも工事依頼が集中するので復旧にかなりの日数がかかります。

●平成7年の「阪神・淡路大震災」では、完全復旧までは3か月、
●平成15年の「宮城県北部の地震」では、完全復旧には22日、
●平成23年の「東日本大震災」の仙台市では全面復旧まで18日間かかっています。

東日本大震災の仙台市では浄水場自体の損傷、停電、非常用発電機用の燃料不足(全国的にガソリン不足になりました)などにより、浄水場の復活に4~5日かかったようです。

10日くらいでなんとか自宅の近くの水がもらえる場所までは給水が復旧すると考えて、10日分の水を備蓄しておくのがいいでしょう。


3.保存備蓄飲料水の必要量は?

いろいろサイトを調べてみると、飲料水は1人1日3リットルの備蓄が良いという記事が多いようです。

自分で計算してみたところ、飲用水としては、薬服用分、お茶、コーヒー、野菜ジュースなどで1日当たり1.5リットルで足りそうです。これに通常のご飯やおかずから摂取する水分、約0.5リットルを加算して1人1日2リットル必要として計算してみます。

家族4人で10日分の備蓄とすると、
2リットル × 4人 × 10日 = 80リットル となり、
2リットル入りのペットボトルで40本になります。結構な備蓄量です。

備蓄水全体としては最低限の飲料水の他に食事用、衛生用の水なども必要になります。



4.食事用の保存水備蓄水

●食事用の水としては「材料としての水」と、「煮炊きをする水」に分けられます

「材料としての水」は、ご飯を炊く水(研ぎ洗い用は別です)、味噌汁・スープ用の水、カレーやインスタントラーメン用の水などで、そのまま体内に摂取され、飲料水の替わりとして計算できるものです。

ご飯は炊飯用に1合あたり0.2リットルの水が必要ですが、研ぎ洗い用には3回洗うとして約1.5リットルの水が必要になります。
水の節約のためには研ぎ洗いの必要がない「無洗米」の備蓄も有効と考えられます。

試しに、普通のお米を研ぎ洗いせずに炊いて食べてみましたが、ほんの少し「もちもちっと」する程度で全く問題はありませんでした!
大災害時にはお米は研ぎ洗いしないで炊きましょう。

●「煮炊きをする水」はレトルト食品を温めたり、食材を茹でたりする水です。
その水が体内に摂取できない場合は他の用途に流用することが大事です。

●食事用に「煮炊き」をする場合は当然「火力」が必要になります。大災害時には停電、ガス供給停止も発生しますので、カセットこんろ・カセットボンベやアウトドア用の過熱器の備蓄が必要です。

これらの品は備蓄水の煮沸(後述)、浄化水の煮沸にも有用ですので是非備蓄しておきたい品です。

大災害・緊急時ですから、給水の目途がたつまでは食事はカンパンや缶詰、レトルト商品などで代用し、なるべく備蓄水は飲料水に使うようにする事が大事です。


5.生活用の保存水備蓄水

●衛生・風呂用水

風呂・シャワー、洗顔・手洗い・歯磨きなどの水です。風呂・シャワーは大量の水を必要とするため、大災害時には我慢し、濡らしたタオルを使用します。

ウェットティッシュ・ウェットタオルの備蓄も有用ですが、気づかないうちに乾燥しきっていることがあるので時々チェックが必要です。

水のいらないシャンプーの使用や、歯磨き時には歯磨き粉を使わないなどの方法も水の節約になります。

コンタクトを利用している人は洗浄専用水の備蓄が必要になります。

●洗濯用水

大災害時には洗濯はできるだけ我慢することになりますが、お風呂に常に水を溜めておき、必要最小限の洗濯にこれを使うことが有効と考えられます。

●トイレ用

台風・暴風雨、落雷や火災による停電に起因する断水の場合は、比較的早期に復旧するので、復旧の見通しが立てば風呂などの備蓄水をトイレの排水に使用することも可能ですが、大規模地震の災害時には、水洗トイレは使わないということになります。

詳しくは、『 災害発生時のトイレ使用 トイレ対策について 』のページをご覧ください。

●食器洗い用

洗う必要のない紙コップや紙皿、割りばしを備蓄しておいたり、食器を使う場合はラップやクッキングシートを使い、食器を洗わずにすむ工夫が必要です。


6.給水車について

小規模な事故・災害の場合には給水車にすぐに来てもらえますが、大規模災害時には被災地の状況で優先順位が決まったりするので、必ずしも給水車がすぐ駆けつけて来てくれるとは限りません。

また、通信手段が混乱するなど、給水車に関する情報がなかなか得られない状態になります。
これは、水道局に電話が繋がりにくい、水道局の内部でも停電、施設破損、通信困難などの状況におちいり、情報が混乱してしまうなどの理由によります。

地域差、被害状況によりますが、給水車を頼りにする場合でも最低3日分の水を備蓄しておくのが良さそうです。



7.給水拠点での給水

給水車を待たず、近くの給水拠点へ水を貰いに行く方法があります。

大災害が発生し、断水になったときでも、応急給水槽や浄水場・給水所などの給水拠点で、応急給水を受けることができます。いざという時のために普段から、自宅に一番近い給水拠点を確認しておきましょう。

参考に東京都の給水拠点は下のサイトで調べられます。
   東京都給水拠点

最近は井戸が見直され、防災用の井戸を所有している学校や公園があるようです。自宅近くの井戸がある公共施設、また井戸のある民家も調べておくといいでしょう。


8.給水の問題点など

給水を受けられたとしても問題点が残ります。

高層マンションなどで、停電または破損によりエレベーターが使えないと、階段で水を運ばなければなりません。大変な労力が必要になります。

そのため、高層マンションに住む、特に年配の方は多めの備蓄水が必要と言えます。(水に限らず、食料などについても同じことが言えますね。)

給水車では給水後の運搬方法なども含めて、十分な給水が得られるとは限らないということも考えておかねばなりません。


9.給水運搬用具について

給水を受ける場合には水を運ぶ道具が必要になります。

バケツ、ポリタンク、給水用ビニール袋などを備蓄し、いざ使うときになって汚れていて使えないということが無いようにビニール袋などをかけて清潔に保管しましょう。
その時になって洗う水がもったいないからです。

ポリタンクには折り畳み式のものもあります。保管場所があれば水を入れて保管しておきたいものですが、「長期間にわたっての水の保管には向かない」という製品もありますので注意が必要です。

給水の運搬だけに使いたい場合には保管時には場所を取らない「非常用飲料水袋」が便利です。


10.保存水備蓄水の備蓄方法

備蓄水の備蓄方法としては、ペットボトル購入、ポリタンク やペットボトルに水道水を保管、浴槽・洗濯槽に水道水保管などになります。

また、トイレがタンク式の場合、そのタンク内の水も有用です。(トイレタンク内はカビが生えていることが多いです。時々清掃しておくこと、また汲み上げ用に灯油用のポンプなどを備えておくとよいでしょう。)

さらに戸建て住宅であれば貯留用雨水タンクによる雨水の備蓄も有用になります。



11.保存水備蓄水の種類-ペットボトル

●ペットボトルはいろいろな種類のものが市販されています。

0.5L入り・5年保存で、1本100円~200円程度、2.0L入り・5年保存で、1本200円~420円程度、ほかに、1.5L入りのものや、7年保存、10年保存などのものがあります。

インターネットで購入できる商品を『長期保存ペットボトル飲料水』で紹介しています。


12.保存水備蓄水の種類-水道水

●備蓄水としてはもちろん水道水も有用です。

水道水の消費期限については東京都水道局のHPによると、『 常温で保存すれば3日程度、冷蔵庫で保存すれば10日程度 』ということです。

 ⇒ ⇒ くみ置く際の留意事項

お湯を沸かす装置(カセットこんろ・カセットボンベなど)も備蓄品として揃えておき、
◎非常持ち出し用の飲料水は長期保存できるペットボトル入りの水、
◎その他の備蓄水は水道水にしてポリタンクやペットボトルに保存し、時々交換
という方法もコスト的なメリットが得られそうです。


13.非常持ち出しの飲料水

大災害非常時で自宅に留まっていられない場合は非常持ち出し用の備蓄水が必要です。

水以外の非常持ち出し品の量との兼ね合いも有りますが、飲料水はできるだけ量を多くしたいもので、避難所には給水施設(給水車も含めて)が有ることを期待しても、最初の1~2日分の飲料水を準備しておきたいものです。

2日分とすると、1人あたり2リットル入りのペットボトル2本ということになりますが、かなりの重さになるので最低限の飲料水として、
 1人あたり0.5リットル×2日分=1.0リットル
 ⇒ 0.5リットル入り×2本 ということになります。

また、小型のペットボトルの方が何かと使いやすくなりそうです。


14.携帯用 浄水器(ろ過器)について

家に居られてもペットボトルや水道水の飲料水を使い果たしてしまうと、お風呂の溜め水などを飲料に使う必要が生じるかもしれませんし、避難した場合は持ち出しできる水も限度がありますので、河川の水などを飲料にするしかない場合も考えられます。

そんな場合に究極の手段として役立つのが 携帯式の飲料水浄化(ろ過)器具です。

浄水器については浄化性能(ウィルスなどもろ過できるか)、浄化能力(何リットルの水をろ過できるか)や、運搬・保管のしやすさ、価格を検討して決定しなければなりません。
また家庭(浴槽、庭の池など)の他に避難先での採水地の有無なども調べておくことも必要でしょう。